アクエリアンエイジSS
白と黒

ここは日本、パラケルススの塔
錬金術師クラリス・パラケルススの住居にして工房
そして日本におけるWIZ-DOMの一大拠点でもある
その守りは堅牢にして鉄壁、されど攻め込ませれば右に出るものなし
しかし現在は平和そのもの、クラリスもおとなしく茶をすすってる・・・わけもなく
WIZ-DOMの三大魔導師が一人ステラ・ブラヴァツキと、同じく三大魔導師が一人ディーナ・ウィザースプーンを招き
新たなアイテムのプレゼンテーションをしていた

「・・・・・で、このスーツを着ればあらゆる身体機能が10倍くらいに跳ね上がるのよ」
「それだけの強化を戦闘用ゴーレム全てに施せれば大幅な戦力増加が期待できるか・・・」
「少しでもゴーレムの消耗率が下がればいいんですけどね、誰かが無茶を繰り返さなければそんな心配しなくていいのですけれど」
「そうだな、誰かが腰を上げるのがもう少し早かったら無茶もしなくてすんだのにな」

WIZ-DOM最高の魔導師ステラ・ブラヴァツキとディーナ・ウィザースプーンの仲が悪いということはWIZ-DOMの構成員であれば誰でも知っていること
一蹴即発、顔を見れば互いの尊厳を賭けて戦う
しかし、その実態がただの口喧嘩であることを知ってるものは彼女らに近しい者のみ

「それでね・・」

いつもならこの喧嘩を面白そうに眺めているクラリスだが、今回はそれに口を挟む
やはり自分のプレゼンは邪魔をされたくないか

「今までは私個人で進めてきた研究だけどちょ〜っと私だけでは手に余るのよ
それでね、ちょっと協力をお願いしたいんだけど」
「予算不足ですか?それだけの価値があればいいのですけど・・・今WIZ-DOM財政は火の車なのですから・・・・」
「予算のことはこれで解決として二人には他にも頼みたいことがあるのよ」
「ちょっと待ってください私の話はまだ・・・」
「それでクラリス頼みというのは何なんだ?」
「よく聞いてくれたわねステラちゃん、このスーツ、次の段階に進みたいところなんだけど
致命的にテストが足りないのよ、うちの人員にはこれを着ることができるだけのレベルがある子がいなくて」
「弟子を貸せと言うことか?どれだけの実力が必要なんだ?」
「WIZ-DOMトップエースレベルかしら・・・しかも二人も必要なのよ」
「さらばだ」
「さようなら」
「この塔の結界を破るにはステラちゃん、ディーナちゃんでもちょっと難しいんじゃないかなぁ」
「・・・・・別に私じゃなくてもいいだろう」
「そうですわ、ソニアさん、ジリアンさんでもいいじゃないですか、クラリスさんが直々に着けてもいいんですし」
「それがそうもいかないのよねぇ・・このスーツは正反対の魔力を持ってる者二人の力を増幅してパワーアップできるようにするのよ
今はちょっと魔力許容量が高くないと扱えないけれどゆくゆくはだれにでも使えるようになる予定よ」
「それならばエレクトラとイオでもいいんじゃないのか、別に私たちでなくてはならないわけではないだろう」
「そうです、ただでさえ忙しいのですからこれ以上ストレスを溜めさせないでください」
「イオちゃんたちの魔術は四大元素を使った魔術、逆のように見えても本質は同じよ
このスーツには本当に正反対の二人が必要なのよ」



あれから二時間、二人がパラケルススの塔を出てから三十分が経過して・・・

『そこを右に曲がったらすぐだからね〜』
「これでやっと解放されるんですね、これだけ早く終わらせたいと思った任務は初めてですわ」
「珍しく気が合うようだな、私も同感だ」
「それでこの先にはなにがあるんですか?」
『ええと、それはね〜』

そこでちょうど曲がり角に差し掛かり

『ダークロア(人猫)の集会場』
「え、キャッ」

そこには十数人の人猫がたむろっていて・・・

『さぁ、変身してこいつらを倒すのよ〜』


「スマンなクラリス、いきなりだったもので全て倒してしまった」
『へ・・・・』
「あ・・・・」



「まったく、ステラさんが余計なことをしなければもう解放されていたはずなのに」
「それに関してはすまなかった、だが私は誰かさんほどトロくはないのでな、つい反応してしまうんだ」

(う〜ん、やっぱり普通の相手ではあの二人に変身させるところまでは行かせられないのね)
(それじゃあ秘密兵器を出すしかないのかしらね・・・・・・)

「はぁ・・・これだから野蛮な方と一緒にいると疲れますわ」
「気が合うようだな、私も今同じようなことを考えていた、頭でっかちといると苦痛だとな」
『ほら、ステラちゃん、ディーナちゃん、そろそろ次の目的地に着くわよ〜』


「ここは・・・・」
「学校・・・か・・・・」
『そう、ここで次のお相手が待ってるのよ、パッパッと変身してやっつけちゃってね』
「言われなくてもそのつもりですわ。で、いったいどのようにして変身をすればいいのですか?」
『まだ言ってなかったっけ、えっとそれはね・・・・』
「待て、来るぞ!!」
「え、きゃあ!」


瞬間、轟音が鳴り響く、そしてディーナの姿が掻き消えた


「ディーナ!」
「だいじょうぶです、私の[盾]を甘く見ないでください・・・完全には防ぎきれませんでしたが」
「藤宮真由美・・・サイキックモンスターか」
『そう、この日のために儀式を準備していたのよ、うまくいって本当によかったわ』
「うまくいったじゃないだろ!こいつには略式の術はほとんど効かないんだぞ」
『だからいいんじゃない、ほらまた来るわよ」
「くそ、[衝撃よ走れ]!!」

ステラの簡易呪文詠唱を合図に激しい衝撃が真由美に襲い掛かる・・・が
それは全て真由美の周りにある[壁]・・・念動力の[壁]に防がれる

「足止めにもならないか、ディーナ準備はいいか?」
「問題ありません、それでクラリスさんどうやって変身すればいいのですか?」
『それはね、デュアルオーロラウェーブって叫んで仲良く手をギュって握るのよ』





「なんですか、その日曜の朝みたいな変身方法は!」
『ディーナちゃん詳しいのね〜』
「関係ありません、そんなこと、とてもできませんよ」
「そうだな、相手が別の者ならできたかもしれないが・・・・」
『そんなこと言ってると死んじゃうわよ』
「お前がかけた魔法でこうなってるんだろう、すぐにでも解呪しろ!」
『私がそんなに簡単に解ける魔法をかけるわけないじゃない、さぁがんばってねステラちゃんディーナちゃん』




「クソ、やるしかないのか・・・・」
「そうみたいですね・・・激しく不本意ですがやるしかないみたいです」
「じゃあ・・・・いくぞ」
「はい」


「「デュアルオーロラウェーブ」」


〜以下変身バンクのため省略〜


「光の使者、キュアブラック」
「光の使者、キュアホワイト」
「「ふたりはプリキュア!」」
「闇の力の僕たちよ」
「すぐにでも家に帰るんだな」


「いったいなんだこの科白は!」
『素敵でしょ?脳に直接知識を流し込んで装着者自身にしゃべらせるの・・・あら?ディーナちゃんのは一言一句テレビと同じ・・・』
「そんなことはどうだっていいことです、ほら、来ますよ」

真由美が滑る様に念動力を使って地面を駆けてくる

「遅い![炎の槍よわが眼前の敵に・・・」
「ふぅ!」

真由美の姿が気を吐いた瞬間に見えなくなる

「テレポートか!」
「ぃいやぁぁーーーーーーーー!!」

地球最強の能力者である藤宮真由美の全力の一撃
その一撃に耐え切る能力者はこの世には存在しない・・・がしかし

「私の[盾]も強化されています、もうあなたの攻撃は通りません」
「よし、抑えていろディーナ、[我奏でるは滅びの詩、我歩むは死の路、我の前には全ての無、そして汝の先は我の先滅びよ!無に帰せ!愚かな死者よ!!]」

ステラの目の前に広がるただの闇、漆黒のそれは真由美を包み込み・・・・

「ちょっとステラさん、わたしごと攻撃するつもりだったでしょう?」
「気にするな偶然だ」

「で、この術はいったいなんですの?」
「無を作り出し死と繋げる、そしてその中にいるものは全て滅ぶ、普段は儀式を行使してやっと使える術なんだがな」
「これならさすがにあのサイキックモンスターも終わりかしら?」
『そんなに甘くないみたいよ〜あまり油断してると危ないわよ』

閃光と共に地形が変化した
真由美の撃ち出した[槍]によって・・・

「死から抜け出たと言うのか?いや、死が存在しないと言うほうが正しいか・・・」
「神の領域に達してるとでも言うのですか?そんなものにどうやって勝てばいいのです」
「死を直接与えず、ダメージを与え動けなくする・・・その間に逃げればいい」
「それしかないようですね・・・しかしこの姿は消耗がかなり激しいようです、消耗戦になったら終わりですわ」

『そんなときは必殺技を使えばいいのよ、ディーナちゃんなら分かるでしょ?』
「知りませんそんなこと・・・」
「なんだクラリス?まだこのスーツには何かあるのか?」
『と〜っても強力な必殺技があるのよ〜やり方はね、お手てをギュっとつないでプリキュアマーブルスクリューって叫ぶの』
「またステラさんと手をつなぐなんて嫌ですわ」
「しかしやらなければ勝てないのだろう?野良犬に手を噛まれたと思ってやってやるさ」
「そうですね・・・やるしかありませんよね?」


「いくぞ!」
「ええ!」


「ブラックサンダー」
「ホワイトサンダー」

「プリキュアの美しき魂が!」
「邪悪な心を打ち砕く!」


「「プリキュア・マーブル・スクリュー!!」」

スクリューが伸び、今まさに新たな[槍]を作り出そうとしていた真由美に突き刺さる
即座に真由美の前に[壁]が展開される
しかしその[壁]をものともせず、渦は真由美を貫いていった

「やったか?」
「確認次第すぐにでも逃げる、これでいいんですよね?」
『・・・これは私も予想してなかったわねぇ・・・」
「「!」」

真由美は立ち上がり自身がまだ戦えることを見せ付ける
そして一閃、衝撃波を放つ

「なんてこと、あれを食らってまだ戦えるなんて」
「あいつは自然に魔術を防ぐ壁を張る、いくら攻撃力が落ちていてもこちらの攻撃が届かなくなったら・・・」
「勝ち目なし、ですか・・・私の[盾]も、もう長くは持ちそうにないですね」
「クソ、刺し違えてでも・・・って死なないのか」
「・・・もしかしたら・・・なんとかなるかも・・・」
「どうしたディーナ?」
「クラリスさん、もう一つの技はこのスーツには付いていますか?」
『ああ、たしかにもしかしてあれならいけるかもしれないわね』
「どういうことだ?」
「ステラさん、もう一度我慢して手を繋ぎましょう、そしてプリキュアレインボーセラピーです」
「分かった、もう文句をいってる余裕もないな」


「ブラックパルサー」
「ホワイトパルサー」

「闇の呪縛に囚われし者よ!」
「今、その鎖を断ち切らん!」


「「プリキュア・レインボー・セラピー!!」」

光が真由美を包み込む
そしてその光が解けるとき・・・真由美から殺気が消えた
真由美はクラリスのかけた呪いから解放され気を失った

「これで終わりですね」
「ああ、やっとこのテストも終了だ」
『ステラちゃんディーナちゃんあの子が解放されて結界が解かれたせいでここを嗅ぎつかれたみたい、一番早く着きそうなのはE.G.O.
サイキックモンスターはあきらめてすぐにでも逃げたほうがいいみたいよ』
「変な呪いも解けて止めをさせるチャンスなのだがな」
「ここで二人ともやられてはこちらの損害のほうが大きいです」
「ではすぐに逃げるとするか」



ここは日本、パラケルススの塔
錬金術師クラリス・パラケルススの住居にして工房
そして日本におけるWIZ-DOMの一大拠点でもある
その守りは堅牢にして鉄壁、されど攻め込ませれば右に出るものなし
しかし現在は平和そのもの、クラリスもおとなしく茶をすすってる・・・
WIZ-DOMの三大魔導師が一人ステラ・ブラヴァツキと、同じく三大魔導師が一人ディーナ・ウィザースプーンを招き
おとなしく茶をすすっていた

「それでどうだった?このプリキュアスーツ」
「最悪です」
「最悪だ」
「こんなものに大切な予算を動かせるはずありませんわ」
「でも実際強力だったでしょ?これが少ない力で動かせるようになって量産できたら・・・・ステラちゃんはどう思う?」
「たしかにそれは魅力的だな」
「ステラさん!」
「これであとはディーナちゃんが了承してくれれば本格的な開発にはいれるんだけど・・・」
「絶対嫌です」
「まぁもうテストで着る必要もないんだから、完成すればどれだけのプラスになるか分かってるだろう?」
「う・・・しかたありませんか・・・」


後にプリキュアの姿をしたWIZ-DOMの精鋭が他勢力を圧倒していったとかいないとか・・・
男が着たらそれだけで精神攻撃になりそうなものだが


FIN


TOP